織田信長ブログ【ひまわり4】
- 2012.03.07 Wednesday
- 00:00
クハハハハハハ!!信長である!!第六天魔王であるぞ!!ひれふせい!!地面を掘ってひれふせいっ!!!
前に長編は書かんとあれほど言ったが、続きが気になるという声が上がってのう。仕方なしに続きを書いてやることとするわ。
第1.0話:http://ijin.omocoro.jp/?eid=191
第1.1話:http://ijin.omocoro.jp/?eid=192
第1.2話:http://ijin.omocoro.jp/?eid=193
まあ気になる所で終わる話というのもつらかろう。きっちりと今回で引導を渡してくれるわっ!!ぶった切ってくれる!!
***
火曜日はバレー部が体育館を使う日なのでバスケ部のあたしたちは校舎の廊下を使ってトレーニングをするんだけど、やっぱり女子が集まって筋トレなんて言ったらおしゃべりの場になるのは確実なわけで。
まあ、高校生の女子ですので、やっぱり話題の中心は恋愛関係で、B組のなに君とD組のなにちゃんが別れたとかそういう話で盛り上がってた。
「でも濃ちゃんはいいよねー。光秀くんっていう完璧な彼氏がいてさー」
ネネが急にあたしの話題を持ってきた上に超誤解。彼氏なんていないっつーの。
「だーかーらー。光秀は彼氏じゃないって。単なる幼なじみだから」
「単なる幼なじみがあんな頻度でわざわざ他校からお迎えに来ますかねー?このー!」
そう言いながらネネは腹筋してる(フリをしている)あたしに覆いかぶさって来た。確かに最近光秀はヒマなのか知らないけど、あたしが帰る頃に校門の前まで迎えに来てくれる。けど、違うっつーの。
「ちょ、ちょっちょっ!重い重いってば!!いや、いやいやいやお互い恋愛対象とかじゃないし!だいたい・・・」
だいたいあたし、好きな人いるし。
そのあたしの恋愛は、全く進んでなかった。織田くんのバイト先で会話したのはロングタイムアゴー。それから何度かあいさつを交わしたけど、それだけ。 物凄い勢いで停滞してる。
織田くんと話そうにも、織田くん忙しいから。文化祭に出典していた織田くんの絵は、それから何かの賞に出して入選したらしい。新聞の地方欄に載ってた(し、そこを切り取ってある)。
朝は朝礼のギリギリまで。放課後は遅くまで美術準備室で次の賞に出す絵を描いてる織田くんの邪魔をするのも、ちょっと気が引けて。織田くん、あたしなんかに構ってるヒマ、ないだろうし。
というか、もしも話しかけて「邪魔だなコイツ」とか思われちゃったら立ち直れないっていうか、でも織田くん優しいから嫌々ながらも笑顔を見せてくれるんだろうなぁ、そうしたらもっと立ち直れないだろうなぁ。
なんてあたしがうじうじ考え始めた頃に、自分のおしゃべりが終わった部長が少し汗を流すためにケイドロを提案した。 あたしの地元ではドロケイだったけど。まあ、うじうじ悩んでも仕方ないし。汗かいてさっぱりしよう。
あたしは泥棒のチームに入って、前髪をゴムで結んで本気で逃げ出した。
茜色のほぼ誰もいない校舎を気持ちよく走る。「ネネはあっちから回って逃げてって!あたしは3階から誰か捕まったか見えるとこに回るから!!」高校生になってからのドロケイとかのチーム戦の遊びは頭を使えるので意外と楽しい。
すると。
これは全くの偶然なので信じて頂きたいのですが、期せずして美術準備室の前を通りかかった。
・・・。
嘘。「ひょっとしたら、見れるかも」って思って、わざわざ美術準備室の方に逃げてきたんだ。そしたら、織田くんは、居た。
ドアを開けっ放しで一人で美術準備室の真ん中で絵を描いてた。真剣な男の横顔に女は落ちるなんてよく言ったもんで、まあ織田くんはかっこよかった。この現場を目撃出来たのがあたしだけで良かったよホント。出来たらもう2時間くらいここで気付かれないように眺めていたいな。
なんて下らないことを考えていたら、織田くんの視線がこっちに向いた。瞬間、何故かあたしはドアの影に隠れてしまった。何隠れてんのあたし!別に覗いてたわけじゃないのに!覗いてたんだけども!ええ!覗いてましたけども!!
「・・・斉藤さん?」
そう呼ばれたので、ドアの影から顔を出した。気付いてくれたんだ。嬉しいな。
「ごめんね、邪魔して」
そう言うと、織田くんは首を振った。
「ううん。ちょうど今、息抜きしようと思ってたとこだから」
やっぱ優しい織田くん。あたしはちょっとだけチャンスと思って調子に乗って美術準備室の中へ入って織田くんの絵を見た。ひまわり。
「これ、また何かの賞に出す絵なの?」
「いや、これは賞とは関係ないんだ。本当の趣味で描いてるやつだから」
あたしは絵に近づいて見た。すごい綺麗な色だな。
「ふうん。すごく上手なのに。でもそうか、もう冬だしね。ひまわり、好きなの?」
「うん、まあ、好きというか、自画像というか」
「ふーん?」
あたしはよくわからなかったので織田くんの顔を見上げた。すると織田くんは少し目をそらして言った。
「あ、今日はおでこ出してるんだね。部活の時はそうなんだ?」
あたし自分の格好のチェックをしないで織田くんの前に。バカだあたし。あたしのバカ。ジャージで前髪結んでるって、すっごいバカっぽいじゃん。やばい。恥ずかしくて死にそう。失敗した。逃げたい。ダッシュで逃げたい。
「あ、う、ご、ごめん。変、だよね?」
「あ、いや、元気で、斉藤さんっぽくていいと思うよ。」
また織田くんに気を遣わせてしまった。どうしよう、なに話そう。てゆうか沈黙になっちゃった。これって帰れって合図なのかな。もうこの辺でお暇を頂いた方がいいのかな。よしそうしよう。ものすごく話した。これ以上話すと心臓がどうにかなる。なんて考えてたら織田くんが口を開いた。
「この絵ね。さっき自画像なんて変なこと言ったけど、斉藤さん、ひまわりの花言葉って知ってる?」
あたしは首をひねる。
「『私の目はあなただけを見つめる』っていうんだって。」
「ああ、太陽の方を向くから?だよね?」
「うん」
織田くんは少し上を向いて目をつぶって考えて、そしてあたしの方を見た。
「俺ね。ずっと、思ってる人が居て。でも、その子には彼氏が居て。」
嘘。
嫌だ。ちょっと待って。これって相談されるパターンの奴じゃん。嫌だ嫌だ嫌だ。やめて織田くん。それ、つらいやつだよ。いちばんつらいやつだよ。
あたし、織田くんのこと好きなんだよ?気付いてないの?気付かないよねそりゃ。普段ほとんど話しないもんね。でもやめて。恋の相談なんてしないで。
「でも、言わないとずっと苦しいままで。」
わかるよその気持ちそんなのわかるに決まってるじゃんあたしがそうだものでも今この瞬間ベスト苦しいニストはあたしに決定したよ織田くん。
というわけで織田くんごめんなさい。泣くので逃げます。その相談、あたしには無理です。織田くんは少し間を置いて、息を吸った。あたしは下を向いて走りだす準備をした。
「・・・俺、斉藤さんのこと、好きなんだ」
・・・え?
***
ちゃんと終わって楽になれると思うたか!ぶった切ると言っただろう!!続き?そんなもの無いわ!!一生モヤモヤしていろ!!
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